あれから何十年。
母のくちから初めて
「ほんとうに申し訳ないことをした。
置き去りにされたこどもがどんなにつらい思いをしたか
今思うと、どんなにつらかったんだろうと
ほんとうにごめんね、ごめんね」と。
私の中で深いトラウマとなっている
過去のことに対して。
もう済んだことだから
笑って許せる自分がいるはずだ、と思った。
だけど
笑えなかった。
何度も詫びる母に
「しかたなかったよ、
もうだいじょうぶだし、、あの状況ではしかたなかったんだよね、
今ならわかるよ、わかってる」と言いながら
心では
「もう言わないで、もう一度謝られたら
泣いてしまう」
と叫んでた。
声が震えるのも怖かった。
笑顔を保っていられるうちに
その話は終えて、と言いたかった。
許せないとか そういうんじゃない。
今は 母がどれほど辛かったか
四面楚歌の状態、自殺まで考えざるをえなかった状態での選択
しかたなかったのだろうと今は、思う。
だけど
こころから笑って、わだかまりもこだわりもなく
話せるようになるまではまだ
時間がかかるらしい。